株式会社 BRAVE ROBOTICS/石田 賢司 氏 インタビュー

「V-Sido OS」が巨大変形ロボット建造の実現を支える
Project J-deite

2020年代を目途に、全長約5mの変形ロボット製造を目指す「Project J-deite(プロジェクト・ジェイダイト)」。BRAVE ROBOTICS(ブレイブ・ロボティクス)社が中心となって2014年に発足し、当社も当初より参画させていただき共同で開発を進めています。

発足とともに発表した「J-deite Quarter(ジェイダイト・クォーター)」は、人型(ロボットモード)から車型(ビークルモード)への自動変形を可能とした、1/4スケール(全高1.3m)の試作機。「デジタルコンテンツEXPO 2014」(※1)で初の一般公開を行い、主にエンターテインメント分野で活躍の場を広げています。

ハードウェア設計・製作は、株式会社 BRAVE ROBOTICSが主導。動作制御・コントロールには、当社のロボット制御システム「V-Sido OS(ブシドー・オーエス)」を採用していただきました。人型⇔車型への変形に加え、二足歩行や車輪による走行を実現しています。

2016年11月には、BRAVE ROBOTICS社、三精テクノロジーズ社、アスラテック社の3社共同で、有限責任事業組合(LLP)を設立。現在、2017年中の完成を目指して、量産化を視野に入れた乗用人型変形ロボット「J-deite RIDE(ジェイダイト・ライド)」を開発中です。今回は、「V-Sido OS」導入に至る経緯や、それにより得られた効果、「J-deite RIDE」の進捗と今後の展開について、立案当初から中心人物としてプロジェクトを推進しているオリジネイターであり、BRAVE ROBOTICS社の代表取締役である石田 賢司氏(以下、敬称略)に話をお聞きしました。

※1 2008年より日本で開催されている、デジタルコンテンツ技術をテーマとした国際イベント。コンピュータグラフィクスやVRなどに加え、医療やロボットなどの他分野に応用可能なコンテンツ技術も展示対象となる。

石田 賢司(いしだ・けんじ)

株式会社 BRAVE ROBOTICS 代表取締役

1982年新潟県生まれ。ロボット建造師。「トランスフォーマー」や「勇者シリーズ」に感化され、14歳より巨大変形合体ロボット建造を志す。独学で開発技術を学び、2002年に小型二足歩行ロボットを開発。2012年、J-deiteの原型となる小型変形ロボットを完成させる。変形の様子を収めたYouTube動画は再生回数250万回を突破し、世界から注目を集める存在に。2014年、株式会社BRAVE ROBOTICSを設立した後、全高1.3mの変形ロボット「J-deite Quarter」を開発。現在、全高約4mの乗用人型変形ロボット「J-deite RIDE」を建造中。

巨大変形ロボットが存在する未来を目指して

――「Project J-deite」立ち上げの理由や、発足までの経緯についてお聞かせください。

21世紀であるにも関わらず、巨大変形ロボットが存在しない現代。この深刻な事態を私は、“社会問題”としてとらえているんです。この問題を解決する一助になればという思いで、「Project J-deite」をスタートさせました。構想自体はそれ以前から持っていましたが、ロボット業界で話題になっていた「V-Sido OS」の存在を知って、開発者の吉崎 航さん(現アスラテック株式会社チーフロボットクリエイター)に連絡したのは、2014年のことです。その後、実際にお会いして、技術面やプロジェクトについてご相談させていただく中で、「Project J-deite」を立ち上げることに。ちなみに、吉崎さんもちょうどハードウェア専門の製作者を探されていたそうで、すぐに意気投合しましたね。

―― 話はさかのぼりますが、BRAVE ROBOTICS設立以前は、どのように活動されていましたか?

2014年6月に会社を設立する前の3年間は、車型に変形するロボットを開発する上で必要な技術を学ぶために、自動車関係の仕事に従事していました。そこで得た経験を生かしながら、個人事業として、小型変形ロボットの開発を進めていたのです。この小型変形ロボットが注目されたのは、YouTubeで開発中の機体を公開したときですね( YouTube動画)。2012年、7世代目となる機体を紹介したこの動画が、再生回数200万回(2017年10月現在では250万回以上)を突破したとき、自分自身も驚きを隠せませんでした。

――当時の小型変形ロボット開発プロジェクト。その目標やコンセプトについてお聞かせください。

幼少期から巨大変形ロボットの建造に憧れていたこともあり、市販の部品を利用して、最大級の変形ロボットを製作することを目標としていました。当時は市販の制御基板と既存のソフトウェアを使って動作を制御していたのですが、例えば市販のロボット用コントローラーは、人型から車型に変形するロボットを想定して作られていません。その問題を自分1人で解決するのは時間がかかるし、動作制御ソフトウェアの開発に関しては、専門の方にお任せしたい。前身となったプロジェクトでそう感じたことも、吉崎さんにアポイントをとらせていただくきっかけとなりました。

――Project J-deiteの公式サイトを見ると、近未来を舞台としたストーリーなど、往年のロボットアニメを彷彿させながらも、オリジナリティあふれる世界観が描かれています。こうした世界観が生まれた背景はなんでしょうか?

実は、技術的な側面が大いに関係しています。世の中にはたくさんのロボットアニメ作品が存在しますよね。それらの作中に登場する機体を、そのままのフォルムで動かせたら、それはそれで素晴らしいと思います。でも、どの作品に登場する機体も、現実に動くものとするには、技術的ハードルが高い。それに加えて、既存のロボットを立体化する場合、作品のファンが100%満足できるものを作るのは難しいとも思います。一方で、巨大ロボットを作るならば、なぜそのようなデザインになっているのか、なぜそのロボットが作られているのかなどを裏付ける世界観が必要です。……と、私は思います。それならば、原作から作るのが合理的だと判断しました。公式サイトに掲載しているストーリーや世界観は、そんな理由から誕生したものなのです。いずれはマンガやアニメにも展開できればと思っています。

形態を問わない動作制御や、多様なインターフェイスへの対応を可能に

―― 「Project J-deite」を発足し、開発の流れはどのように変わりましたか?

「J-deite Quarter」のハードウェア開発に要した期間は、約半年でした。既存のソフトウェアで個人的に動作制御を行っていたら、倍以上の時間が必要だったかもしれません。「J-deite Quarter」「J-deite RIDE」ともに、ロボットの上半身や下半身など、完成した箇所から吉崎さんにお渡しして、「V-Sido OS」での動作チェックをお願いする……といった具合で、作業を分担できています。また、ビジネスや事務的な面をアスラテックさんにご協力いただくことで、ハードウェア製作に専念できるようになったことにも、感謝の念が尽きません。

―― 「V-Sido OS」導入により、実感したメリットについてお聞かせください。

人型のときの二足歩行、車型での車輪走行、そして変形モーションに至るまで、すべての動作を制御できる点です。姿勢や動きをゼロから登録せずとも、物理パラメータを設定するだけでロボットをリアルタイムに動かせるのは素晴らしいですね。大きさに関係なく、同じソフトウェアで機体を制御できるという特徴も、プロジェクト進行をスムーズにする要素の1つと言えます。また、パソコンやジョイスティック、ハンドルなど、多様なコントロール方法に対応する点も、「Project J-deite」のコンセプトに適しています。人型にも車型にも変形するロボットですから、形態に準拠したインターフェイスを設計できると理想的です。これら全てを実現できる制御ソフトウェアは、「V-Sido OS」の他にないと考えています。

―― 「東京おもちゃショー2015 」(※2)でタカラトミー様より発表となった機体には、どのように関与されましたか?

「Bumblebee Quarter(バンブルビー・クォーター)」「Bumblebee 20(バンブルビー・ツーオー)」ともに、受託開発という形で、ハードウェア製作に協力させていただきました。動作制御に「V-Sido OS」を用い、自動変形や二足歩行、タイヤによる走行が可能な点や、さまざまなコントロール方法に対応しているのは、「J-deite Quarter」と同様です。身長26.5cmの「Bumblebee 20」に関しては、わずか数秒での変形を実現しました。今後も、玩具業界やエンターテインメント業界との結びつきを強くしていけたらと思いますが、そうした部分でもアスラテックさんのプロデュース力やコーディネイト力には期待したいですね。

―― これまでも、イベント出演やさまざまな企業様とのコラボレーションで、お仕事をご一緒させていただきました。

さまざまなロボットメーカーと繋がりのあるアスラテックさんは、案件に合わせて適した技術をコーディネイトする存在でもありますよね。大手企業からの受託開発案件では、当社が開発した変形機構を用いてもらいました。2017年10月にオープンした、新宿高島屋のロボット常設売り場「ロボティクススタジオ」へのイベント出演も、アスラテックさんと共同での出演でしたが、こうした仕事で事務的な面をサポートしてもらえるのは心強いですね。

※2 日本最大級の玩具展示会。毎年6〜7月頃に東京国際展示場にて開催。体験教室やステージショーなどにも注目が集まる。

年内の完成を目指す「J-deite RIDE」

――全高約4mの乗用人型変形ロボット「J-deite RIDE」。現在の開発状況はいかがですか?

2016年11月のプレスリリースでもお伝えした通り、2017年中に完成予定です。メカニックデザイナー・大河原邦男 (※3)さんの手掛けるデザインを忠実に再現し、2017年10月中旬時点でカラーリングもほぼ完了。「J-deite Quarter」にはホビー用モーターを搭載していましたが、「J-deite RIDE」には工業用モーターを搭載しています。それに伴い大型化した機体の制御も、アスラテックさんにサポートしていただけるのは心強いですね。お披露目の際は、多くの方に見ていただけるような形にできればと思っています。

※3 メカニックデザイナー。1947年東京都生まれ。「機動戦士ガンダム」「ヤッターマン」「勇者シリーズ」ほか、数々のアニメーションでロボットのデザインを担当。

―― 今後の展開についてお聞かせください。

「J-deite RIDE」完成後は、各種イベントへの参加、一般企業のプロモーション活用などを中心に活動していく予定です。また、LLPにご参画いただいた三精テクノロジーズさんを中心に、「J-deite RIDE」をベースとした、テーマパーク向け乗用人型変形ロボットの開発・量産化を進める計画もあります。一方、「Project J-deite」のゴールは、全高5mに達する「J-deite Oringinal(ジェイダイト・オリジナル)」を建造することです。個人的には、この大きさでも変形ロボットとしては“普通サイズ”の枠組みに収まると思いますし、いつの日か巨大変形ロボットを建造するという夢は変わりません。それを実現するためにも、2020年代での「J-deite Oringinal」完成を目指して、アスラテックさん他、皆さんとの協力を強めていきたいと考えています。

お問い合わせ

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